来年はCESに! コマ数別、海外展示会に出展するのに掛かるコスト一覧 & 金の掛けどころTips

世界最大の家電・IoTの展示会、CES。そこに出展するのはさぞかし高いんだろうということをものすごい色んな人にものすごい回数聞かれて、ものすごい回数『そんなにかからへんで』と返すのもだいぶ疲れてきたので、CESに出展するにあたってかかるコストをざーーーっとlist-upする。もちろんCES以外の展示会でもほとんど誤差範囲でしかコスト違わないので、NABやIBC、IFAやCeBITなんかにもそのまま応用(誤差20%以内)できるはず。あ、MWCだけは別。あれはボリすぎ高すぎ。

1コマで出す場合


2013年の初CESブース@LVH(現Westgate)
標準ブースを使ったこと、ポスターが背面全面張りではなかったことなどから超目立たない目立たない。
色々と学習した回だった。
なお、手前の展示台は完全自作。当時はホムセンで木を買って組むスキルがなかったので日本から部材を持ち込むという超絶面倒なことをして死にかけた。

こちらがYI Displayの10ft popupスタンドを使った作例@2016年SIA 1コマ。
先の2013年の標準ブースよりだいぶ目立つ感じに仕上がっている。
設営にかかった時間はわずか1時間。楽すぎる。

  • ブース代: 35-50万円ぐらい
    • ブースサイズは国内展示会と同じ3m*3m(10*10ftという言い方をする)
    • 国内の家電展示会の雄であるCEATECが39万円/1コマ なので、実はコストはほとんど変わらない
    • CTA memberになっておけば10%割引がかかる。CTA memberのスゴさについては後述
  • ブース施工費: 10万円以下
    • まず、展示会が推奨してくる標準パッケージはやめるべき。高すぎるし、何といってもみんな同じデザインになっちゃうのでものすごく目立たない。China系のちいさなブースはみんなして標準パッケージを使ってくるので、ものすごくChina感が出る。避けるべし。日本のしょぼい中小企業もだいたい標準パッケージブース。本当にやめたほうがいい。
    • 机と椅子だけでも借りようかという人がおおいが、Freemanが貸してくれる机と椅子はバカ高い。レンタカーを1日借りて最寄りのIKEAにいって買ってきて捨てるが吉。エコじゃないからやだという人だけ高い金を払ってクレ。但しもれなく中華ブースとそっくりの椅子・机になる
    • カーペットは有料、そして高い。これもIKEAか、あるいはHomeDepotに行って買ってきて貼ったほうが安上がり。たださほど価格差はないので、面倒ならレンタルもあり。
    • ブース背景に張るグラフィックはどーんと派手に全面印刷にしないと超超超しょぼくなる。よく日本から出展する中小企業がちいさなポスターをもっていって貼っているケースがあるが、本当にしょぼく見える。でも、壁がないと貼れない。壁を作ってもらうのは相当コストがかかる。うーむ、となったら中華製ポップアップディスプレイシステムの出番だ。困ったらYI Displayに相談しよう。弊社でも何度も使っているなかなかしっかりした中華展示会用品屋さん。下記URLにあるProduct: 10 Foot Curved Backwall with lightってやつが確か米国への送料まで込みで10万円行かないぐらい。わりとアリ。
    • ただ1点だけ。上記YI Displayの10 foot curved backwall with lightの’light’が曲者。これ白熱灯なのだが、米国を中心とした海外展示会では白熱灯の利用が禁止されていることがある。CESは忘れたけどたしかダメ。NABは確実にダメ(前えらいそれで怒られた)。なので、YI Displayに注文するときに、LEDタイプにしてくれといって交渉するか、あるいは照明は自前で用意するかなどしないといけない。注意。
    • 机なんかが欲しいよねというときは、ホームデポかLowe’sに行って板をカットして色塗って組むべし。どうやって組むんだよ!というネタはまた後日にやろうかね。とりあえずはこのへんを参考にしてもらえればと https://tech-blog.cerevo.com/adventcalendar2015/advent15/
  • ブローシャー: 1万円以下
    • A4両面カラー コート紙75gでもまぁ1500部1万円はいかない。ちなみに大事なことだが部数はどれぐらい用意していったらいいのかってところ。まぁ1コマなら1500部あったらだいたい足りる。1000部はけたらよくやったクラス。
    • うちではじめてCESに出したときは場所がしょぼかったこともあって(だいたい展示会初回はしょぼい場所しかとれないんでそんなもん)、600部とか700部ぐらいしか捌けずに涙目だった思い出。
    • いまでもCESやIFAじゃないしょぼい展示会では1000部捌けないことが多い
    • まぁ不安な人は2000部持っていけば確実すぎて必ず持って帰る羽目になる
    • A4パンフよりはポストカードのほうが持っていってもらいやすい。CESはA4でもOKだがデザイン系のイベントや欧州のイベントはポストカードが好まれる。バッグを持って回るって文化があまりなかったりするので。
  • 電気代: 数万円
    • 電気はタダじゃない! 覚えておいてください。最低でも2-3万はかかる
  • ホテル代: 9万円程度
    • 内訳を説明する。まず、1コマブースは最低でも3人で回すのがよい。相当慣れている人なら2人で回せるが、体力的にもそうとうキツいし万が一体調不良とかになったら本気で死ぬので3名投入が基本
    • 1泊7,000円ぐらい、準備日を入れて6泊(CESの場合)なので1部屋で45,000円/人程度。ラスベガスのホテルはショボホテルであってもスペースは広くて1部屋に2名泊まっても費用同じなので、3名なら2部屋。なので45000*2で9万円というわけだ
    • 宿泊代は国によってまちまちな部分。基本展示会シーズンは爆騰するが、それでもラスベガスは圧倒的に安い。ラスベガスはUber/Lyftがいくらでも走っているので、会場近くで高いホテルを取るぐらいなら、全日程Uber/Lyftを使う前提にしてやや離れた場所のホテルを取る作戦が賢い。パレスステーションホテルやRioホテルはアクセスが悪いため値段が激安になっているのでおすすめ。
  • 飛行機代: 30万円程度
    • 先に説明したとおり3名は投入したいところなので3*10万円で30万。
    • CESが行われるラスベガスへはここ最近デルタが臨時直行便を飛ばしているので、これを取るのがベスト
    • これが取れなかったあるいは高かった場合は、LAXまでのフライトを抑えて、LAX-LASではSpiritかFrontierかSouthwestといった米国国内格安航空会社を使う
    • SpiritとFrontierは預入荷物が有料。Southwestは預入荷物が2個までタダ、というのは展示物の持ち込みにあたって荷物が多いハズなので重要Information

 

というわけで、まとめると1コマを出展するコストはだいたいキレイに100万円ぐらい見ておけばちょっとお釣りがくるかなぐらい。ケチケチ作戦でいって90万ぐらい、ちょっとリッチにいったら100万円というわけだ。

 

2コマで出す場合

この写真がちょうど2コマ。2016年のIFAでのブース。幅6m、奥行き3m。照明以外は全て業者に委託。

 

こちらは2015年のIFA、同じく2コマ。
壁立てだけ業者に委託、それ以外は台作りから何から全て自前。
照明がいかに重要か? がよくわかるワンカット。なお照明は白熱灯150wの作業用照明を5発背景照らしように、40w白熱灯✕4をポスター照らし用にと使っている

 

  • ブース代: 70-100万円ぐらい
    • 単純に1コマの場合の倍
  • ブース施工費: 10万~60万円ぐらい
    • 標準パッケージはやめよう、は先に述べたとおり
    • でも、2コマを自前で設営しようと思うとわりとデカくて根負けしそうになる。それぐらい2コマはでかい。
    • 業者に壁だけ立ててもらって自分たちで台は作るプランだと壁10万+木材や塗料のコストで2-3万といったところ。
    • 全部を業者に頼むと80万~100万コース。頑張って根切りまくって照明とかいらないから!って頼んで50万ぐらい。先に写真を貼った2016IFAの業者依頼部分で4000Euroぐらい
  • カーペット代: 数万円
  • 電気代: 数万円
    • 電気はタダじゃない! 覚えておいてください。最低でも2-3万はかかる
  • ブローシャー: 1万円~2万円
    • 2コマとなるとそれなりに注目度が上がってくるので、1000部では足りない。2000部は用意したい。余裕持つなら2500部ぐらい。CESだと4日なんで450-450-250-250ぐらいのペースで捌けるのがCerevoのケース。IFAだと日数が多いので450-450-450-250-200-200ぐらいはけちゃって2000部で足りない事件が起きる。確か2016IFAは2000だか1500だか用意していって最後足りなくなった。
  • ホテル代: 9万円~13.5万円
    • 内訳を説明する。まず、2コマブースを切り盛りするなら最低でも4人はほしい。余裕があれば5人ほしいが、まぁ4でもギリッギリ何とかなる。3人は確実に死ぬし、ビジネスチャンスをのがす。
    • 1泊7,000円ぐらい、準備日を入れて6泊(CESの場合)なので1部屋で45,000円/人程度。4名なら2部屋。なので45000*2で9万円、余裕を見るならもう1部屋(1名)なので13.5万円。
  • 飛行機代: 40万-50万円程度
    • 先に説明したとおり4名は投入したいところなので4*10万円で40万。5名なら50万

 

というわけで、まとめると2コマを出展するコストは220万ぐらい見ておく必要がある、というはなし。

8コマで出す場合

いきなり飛んで8コマ。まぁ1コマ100万ぐらいの乗りできたので、じゃぁ8コマだったらまぁ800万円かとなりそうだが、実際はそうはいかないよという話し。

  • ブース代: 450万円ぐらい
    • 単純に50万✕8ぐらい。今回は若干単価が高い場所を抑えているので高めになっているが、安い場所だと1コマ40万なので8コマで320万ぐらいだったりする。
  • ブース施工費: 450万ぐらい
    • 8コマの規模(6m✕12m)ともなるとまず自前設営は無理。あと、4コマ以上を取るとIsland(アイランド)といって背の高い壁を作ってOKとなる
    • そうすると高さ5mの壁を自前で作って倒れでもしたらまじで人死ぬレベルなのでさすがに怖いし無理、というわけ
    • 覚えておいてほしいのは『高い壁は値段が跳ね上がる』だ。4mの壁と5mの壁でコストが100万変わったりする。Islandを取ったからにはどーんと壁をたてて目立たせたい!という気持ちはわかるが、予算と相談で。
    • 壁よりもハンギングバナー(天井から吊るすでっかいバナー)のほうがぶっ飛んで安い。ハンギングバナーを下げ目にして壁っぽく?見せることもできるので、壁に予算をかけられない場合は派手目の大型ハンギングバナーをオーダーしよう
    • この450万にはTaclimのデモ用の50インチモニター✕4 や照明器具、電源配線、壁ポスター仕上げなどの費用が全て込みになっている
  • カーペット代、ハンギングバナーの設置調整、ブース部材搬入のレイバー(作業員)費 : 70万円
    • 意外にこれが高い。ハンギングバナーの設置調整はブース屋ではなく展示会が指定する業者(Freeman)が行なうことになっていて、レイバー費が高い
    • カーペットはいつもながら高い
  • ブローシャー: 50万円
    • まぁこれは今回のCerevoブローシャが24ページ構成ぐらいとそうとう枚数が多かったこともあり、それを4000部刷ったんでこんなもん。日本で刷ればもっともっと安い(半額近い)のだけれど、こんな分厚いブローシャを4000部も持っていったら本当に死ぬので仕方なくラスベガスの業者に頼んだらこうなってしまう。
    • 結果ブローシャーは3000部前後の捌けだった。
  • 電気代: 忘れたw ※確認して後日追記。多分10万円ちょい
  • ホテル代: 38万円
    • 8コマはひろい。果てしなく広い。今回15名体制で挑んだが、明らかに人が足りなくて若干失敗。17名は最低でもほしかった。
    • 15名なので、2名づつ相部屋にして、8部屋。1泊8000円の8部屋、6泊で38万円(実際には5泊のメンバーも多かったがUnveilで前泊していたメンバーもいたので丸めるとこんな感じ)
  • 飛行機代: 180万円
    • ちょっと取るタイミングをミスったのもあって平均12万円ぐらいの便だったかと。なので、12*15でこれぐらい。
  • その他ブース設営用資材: 20-30万円
    • ちょっとした小物類やケーブル類もそうはいってもコストがかかる。これだけのブース規模だとそれらも積み上げていくとこれぐらい

 

というわけで合計すると1250万円ぐらい。1250!! まぁすごい金額だよねということにはなるんだが、今回のCESでCerevoは非日本語のメディアだけでも160をカバーした。取引の依頼も営業がひぃこら言って対応しないといけないぐらい数多く来ている。協業のご相談も相当数。ちょっとやそっと広告を打ったところでこれだけの効果を得ることはできないし、1台3万円儲かる商品を400台売ったぶんのコスト見合いでこれだけのOutputが出せるCESはやっぱりすごいし、費用対効果抜群のPRだったことは間違いない。

なかなか展示会で8コマブースを取ってその費用内訳を公開するような企業がいないので、比較事例が無いのは何ともだが、まぁ我々はこれぐらいの費用感、規模感でやったよという一例として覚えておいていただければと思う。

 

 

CES 2017のCerevoブース(展示期間中)

 

CES 2017のCerevoブース、展示終了後(展示物撤去後)

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