CESのブースの位置はどういう仕組みで、いつ選ばれるのか。そしてどうすればいい場所が取れるのか

結構よく聞かれるのでCESのPriority Pointについて説明しておきたい。
まぁひとことでいうと、カネだ。CTA(CES運営母体)にどれだけ継続してカネを突っ込み続けたかが、場所を取るための権利へと変わる。

 

といっても賄賂的なヤツではなく、Priority Point(以下PP)というしっかりとしたシステムになっている。1コマのブースを1年出したらPPが+1される。1コマのブースを2年出せば、2ポイント。じゃぁ2コマのブースを2年出せば4ポイントなの? というとそうでもない。10コマ未満のブースは何コマ出しても1年1ポイント。つまり、何年出し続けているか? がポイント数になるのだ。つまり、5年出し続ければポイント5となる。で、ポイントが高い順番に呼び出しをされ、好きな場所を選ぶことができるというシステムになっている。

で、ベンチャー諸氏や中小企業諸氏にとってツラいのは『2018年1月開催のCES2018ブース予約は、2017年1月開催のCES2017の期間中に終わる』ということだ。まじかよーと思われるやもだが、これが現実。勿論誰も望まないような余り物的場所は2017年9月頃まで残っているが、いわゆる”いい場所“は1年前に売り切れる。

 

で、この前年度CES期間中に行なわれるブース予約合戦(next year booth booking)において、場所を選ぶ優先度=PPなのだ。実際のブースブッキングは、CES会期の2日目から行なわれる。前年度の12月末にCTAからメールがきて、おまえらのブースブッキングは何日の何時だ、と書かれている。それを見てブースブッキング会場に向かうと、近しいPPを持つ会社の担当者がずらーーっと椅子に座って待っている。で、自分たちも座ってまっていると Next is …. Cerevo Inc ! という感じで呼び出される。呼び出されたら壁一面に来年のブースマップが書かれた部屋に通され、1分で『来年、どこに、何コマで出すか』を決めねばならない。日本企業にありがちな『本社に確認を….』なんてやっていると、じゃぁ次の人を先に呼ぶわよ、と言われていい場所がガンガン無くなっていく。実にストイック。

呼び出されて別部屋に入るまで、何処が空いているかもわからない状況下で、1分以内に決めろと。先のエントリでも書いたが4コマでも何百万というカネが飛ぶ決断を1分。しかも1年前。これがCESだ。

 

そしてこのBooth selectionを難しくしているのが、ブースの大きさと場所の関係。下記のMAPをみてほしい。これはCES2017のSandsExpo 2Fの入り口付近のマップ(Clickで拡大)だが、右手前#43705のTomTom Incのサイズで6コマ。Cerevoの奥(上)のGreatCallで4コマ。#43412のCerevoブースで10コマ。つまり、入り口通路付近のいわゆる”いい場所”はどれも6コマ以上のサイズなのだ。ちょっと奥まってやっと4コマのスペースが現れる。毎年1コマづつ徳を積んで早めのブースセレクションに呼ばれたとしても、いい場所を取りたければ6コマ以上の契約を迫られるという仕組み。さすがアメリカンさすがカネの国。

 

そして最後にこのPDFをじっくり読んでみてほしい。

https://www.ces.tech/CES/media/pdfs/priority-points-grid.pdf

 

ここに何が書かれているかというと、

  1. 毎年出し続けるとポイント加算されていくよ(前述のとおり)
  2. CTAの広告を買う(CES会場中の広告枠を買うなど)と$1万で1ポイント、最大5ポイントまで加算するよ
  3. 10コマ(500万円ぐらい)以上のブースを買ってくれたら1ポイント、60コマ(3000万円ぐらい)以上なら2ポイント…と最大4Cポイントまで広さに応じて加算するよ
  4. CTA Memberという会員組織に入って年会費をちょっとでも払ってくれたら1ポイント加算するよ、年会費の額が$850を超えると2ポイント、最大9ポイント($4万以上)まで加算するよ
  5. CES ASIAという今CTAが立ち上げたがっている新イベントに1コマでも出展したら1ポイント加算するよ

という….まぁなんともカネが正義な世界ですということが書かれている。つまり、毎年1コマのブースを出し続けたら10年かかるPPポイント10を、400万円(正確には$40,001)の広告を買って、CTA Member feeとして100万円程度( 正確には$10,001)を払えば手に入れることができてしまう、という仕組みだ。さすがアメリカンさすがカネの国。

というわけで、カネにものを言わせることができる儲かっている会社は、数百万~1千万円程度でガツンといい場所を抑えることができ、そうでない会社は長い目で見て毎年ずーーーっとCESに出し続けることでいい場所が取れるようになる、でも363日前にはビシっと場所を確定させないと他の連中に取られちゃうよ、というのがCESブースブッキングの実態である。

 

最後になったが、CESに出すならCTA Membershipは是非とも入っておいたほうがいい。
スタートアップは100ドル弱から入会できてPP+1されるだけではなく、ブース代金が割り引かれる。さらに、CES期間中には参加する社員すべてに対しMemberLoungeで無料のコーヒーや軽食を頂くことができ、ミーティングルームも無償貸出をしてくれる。MemberLoungeは無料WiFiまである。PPが貯まること、これらのBenefitを享受できることから、CESを重要視する企業はCTA Memberになっておくと損はないはずだ。

※…….CTAの回し者ではございませんw

 

 

まぁとにかくCESは日本語の情報、特に出展者側からみた情報が少なすぎる。こうやってCTAが情報発信しれくるといいのだが….。