WEAR SPACEプロジェクトはどういう思いや背景でクラウドファンディングに臨んだのか

皆さんの多大なるご支援のおかげで、WEAR SPACEプロジェクトは1,500万円としていたその目標額を達成し、世に出ることが確定しました。クラウドファンディングにおけるご支援とは、何も金銭的な支援だけではありません。ご購入くださった方はもちろんですが、TwitterやFacebookでいいねやFavを押してくださった方。Shareしてくださったり、リツイートくださったり、はたまた日常生活でちょっと口に出していただいたりした方。お持ちのメディアで取り上げてくださった方。こういった一つ一つの積み重ねで認知度が高まり、500人以上もの方からの『欲しい!』を集めることができました。関係してくださった皆様方に、御礼申し上げます。

https://greenfunding.jp/lab/projects/2463

さて、堅い口調はこれぐらいにしていつものペースに戻そう。本件はパナソニックグループにおけるプロダクトとしては初となるクラウドファンディング・プロジェクト。とはいってもパナソニックロゴを付けて本体がやるのか? となるとそりゃぁハードルが高かろう、ということで一役買って出たわけである。ShiftallのパナソニックグループJoin後の対外露出第一弾としては変態(?)具合もちょうどいいし、何よりパナの若手チームが『ノンカテゴリ※』な製品をクラウドファンディングから製品化まで1年で駆け抜ける、というプロセスを体験・体感できることには大きな意味がある。

※ノンカテゴリとは、デジカメ、スマホ、イヤフォン、といった既存商品の枠組みに含めることができない新しいジャンルの製品のこと。自動掃除機なるものが世になかった頃のルンバ、アクションカメラなるものが世になかった頃のGoProなどをイメージしてほしい

まぁそもそも論として、大企業におけるノンカテゴリ新規商品は不遇だ。大企業ってものは製品部署単位で縦割り、製品を出そうとするとどの製品部署(特定種の製品を扱う部署)が予算を出すんだという話になって話が進まない。新しいテレビなんですといえばテレビ部署だし、新しいドライヤーなんだといえばドライヤー部署なわけだが、被って映像見ながら髪が乾くデバイスはどっちやねんと。テレビからしてみたらポータブルテレビの売上が下がる商材だし、ドライヤー売り場で売れる雰囲気もないからドライヤー部隊も首を傾げ、結果世に出せなくなっちゃう。

いやいや最近は部署の縛りに関わらず!なんて言ってる会社も多いが、よほどアグレッシブな企業でない限りR&D系予算でちょぼちょぼやる分にはやらせて貰えるが、いざ事業化だとなるとどこの製品部署からも予算がつかずにうぬぬ、となる。じゃぁR&D予算で製品まで走ってしまえよと大企業’外’の方は思われるかもしれないが、ここが大企業らしく『前例がないことなので….』でスタックする。StuckとFu**は字面だけでなく感情面も良く似ている。

それじゃいかんだろう、ってことでパナソニック×ShiftallでWEAR SPACEの取り組み、というわけだ。クラウドファンディングってものが話題になり出した2012年から足掛け6年、社内誰もやってなかったの、マジ?という感じだが、まぁ無かったものはしょうがない。強硬にやるぞって人と、良き理解者(役員クラス)がいないとなかなかこういうものは走らない。だってこれを敢えてやらなくたって会社はすぐには倒れないし、個人の待遇が悪くなったりしないんだから。むしろやっちゃった方が、問題起こして待遇悪くなったりする可能性は上がる。

でも、こういうことをやり続けていかないと新しい事業の芽を作るのは難しいし、なんと言っても『こういうのできる会社ってオモロイよね』と社員に思ってもらう(愛想をつかされない、興味を維持し続ける、というか)ことはボディブローのように『優秀な人材の厚み』として効いてくる。

これはパナソニックに限らずだが、日本のメーカー経大企業内でまだ元気のいい若手(Under 35)たちを眺めていると、将来に悲観的なコメントや、諦めとも取れる温度感のコメントがよく出てくる。WEAR SPACEはちっぽけなプロジェクトではあるけれど、この取り組みそのものや、取り組みにご支援くださった支援者様、購入してくださった方々の存在が、彼ら元気のいい若手たち力になるはずである。結果、日本のメーカーの人材層が厚くなり、楽しく、面白く、便利な製品が世にたくさん出ていく。そんな『流れ』を皆さんのご協力により、作って頂いたのだなと思っている。

これから8ヶ月少々で量産まで走ることになるが、WEAR SPACE PROJECTでは量産までの道のりもなるたけシェアしていく予定。面白いじゃんよ、と思っていただけた方は、まだ1日だけ支援を受付けているようなので、ぜひこの面白い船に相乗りして、楽しんで頂けると幸いである。