この春からご息女・ご子息が新生活(高校入学、大学入学、新社会人etc)を迎える親御さんのみなさん、またご本人も、共におめでとうございます。
まず、タイトルのとおりですがM1 Macbookを勧める人たちをたくさん見たので、お前らちょっと待てと。枯れたおっさんにはMacはいいかもしれんが、若者にそれを勧めたらあかんやろということで思い立ってなぜMacではなくWindows機なのか、そしてWindows機をいま選ぶとしてどうすべきかという話を書くことにしました。珍しくですます調ですが、まぁ内容が内容なのでご理解いただきたい。
どうしてMacじゃなくWindows機を勧めるのか
あたりまえですが、M1 Macは素晴らしくイノヴェーティブなハードウェアであり、macOS Big Surは素晴らしいオペレーティングシステムなことでしょう。ですが、これらはご子息の可能性を狭めます。
ご子息はもうスマホアプリ開発者になることを決めている、あるいはWebデザイナーになることを決めている、あるいはバックエンドサーバーエンジニアをやることが決まっている、そんな状況であればどうぞM1 Macbookをお買い与えください。きっとご子息の輝かしい未来をパワフルにバックアップしてくれることでしょう。
ですが、もしこの春から高校生や大学生になろうとしているお子様のことを考えるのであれば、その選択は悪手です。ご子息はこの先何にハマって、どう大成なさるのか。そんなものは親にはわからないし、ましてやAppleに制限されるべきものでもないと思うのです。
Macにできて、Windowsに出来ないことはほとんどありません(主要どころではiOSアプリのデプロイぐらい?)。逆をいえば、WindowsにできてMacにできないことは思った以上に多いのです。例えば流行りのVR(ヴァーチャル・リアリティ)を体験してみたいと思うと、Macではできません。VRにハマって、将来VR領域の会社を起業して大成功なさるかもしれない。その可能性をあなたは摘むことができますか?
あるいは最新のオンラインゲームを遊んでいたら、その可能性に魅せられて大手ゲーム会社に就職して将来経営幹部となるかもしれない。もちろん大半のゲームはMacでは動きません。電子機器に興味を持って、回路を引いたりしてみたくなるかもしれない。業務で利用するような上級者向けの回路CADソフトはほぼ全てWindows用です(図研・Altium等)。機構CADについても同様で、プロがよく使う機構CADの大半はWindows用です。一部の学校ではSolidworksの学生用ライセンスが使えるところもあります。
※といってもKicad/EagleはMac対応してますし、FusionもMacで使えるので、趣味の範疇でやっているうちは困るほどではないんですが
もっとゆるい例を出しましょう。ご子息がVtuberになってみたい、なんて考えるかもしれません。まったく最近の若いモンはといわず、そこは可能性を与えてあげたいじゃないですか。VtuberになるためのFaceTrackingソフトウェアも、大半がWindows用です。ボイチェンはMac対応増えてきましたけどね。
最近でこそ減ってはきましたが、Windowsであればフリーソフトやオープンソース等無料のソリューションがあるが、Macだと有償のソリューションしかないということもままあります。学生さんにとってはここもポイント高し。
じゃぁWindows機どれがいいのよ?
当然ですがお金に余裕があるならRTX3090搭載のつよつよWindowsデスクトップ(40万円~)とVAIO Zフルスペック(約60万円)を買えば大丈夫。ですが、さすがにそれはw という方がほとんどだと思うので、ご子息向けということで税込み10万円程度におさめる方向で進めていきます。
対応ソフトウェアの話だけをしてきましたが、ハードウェア選びにおいて拡張性がとにかく重要です。当然、最高の拡張性を手にいれるためにはデスクトップマシンにATX規格のマザボをさして・・・となるわけですが一旦ここは除外しましょう。学校に持っていけない、というのはかなりつらいですからね。
条件としてTigerlake、Thunderbolt3/4、16Gbyte RAM、筆圧検知ペンは外せないだろうなと考えます。ディスプレイの美しさとか、ストレージ容量とかは2の次3の次でよいです。
とにかくメモリ8Gはどんどん(年々)きつくなっていっているので、Windows機を快適に使うなら16Gが必須です。8Gモデルを使っている人は、え、これで十分じゃない? と感じるのですが、実際16G以上にするとその快適性の違いに驚きます。
ストレージもたくさんほしいという気持ちはわかりますが、ストレージはRAMとちがって最悪低速でもいいと割り切ることができれば増やすことができますから、一旦ここは忘れましょう。ストレージ256Gbyteあればなんとかなる。
Tigerlakeは必須ではないものの、いま旧世代を選ぶメリットはあまりない。Ryzenは? となるんですが、ご子息が何にハマるかわからない以上、外付けGPUが使えるThunderbolt3/4対応を必須にしたいのです。となると、自動的にThunderbolt対応していないAMD製のRyzen系は落ちてしまう。
いやeGPUボックスなんてそんなコスパ悪いもの、というのはわかっていますよ。TB4になっても帯域増えてないんでRTX3x系のメリットは活かせないし、そもそもTB3用eGPUボックスが3.5万もするからコスパがなーとか、言いたいことは色々あるけれど、それでも重要なのは何度もいっていますが「可能性」です。女子大生が一人暮らしの部屋にデスクトップマシンを置きたくないというのもわかる。でも、例えばSteamVRを遊んでみたいと思ったときに単純に「デスクトップはなぁ」「ゲーミングノートは20万するしなぁ」と諦めさせてしまうのか、中古GPUとeGPUボックスで5~7万円だけバイト代を突っ込んでSteamVRの世界を知ることができる状態にしてあげられるのか。
おそらくこの文章を読んでPCを買い与えたご子息の90%以上がThunderbolt3/4端子の恩恵を受けずに終わるでしょう。でも、のこりの10%にご子息が入る可能性をいま捨てますか? 追加費用が掛かるようなものでもないのに。
同様のことは感圧式タッチペンにも言えます。大半の人が使わないかもしれない感圧式タッチペン&ディスプレイ対応機であれば、Windows機を液晶ペンタブレットとして使うことができます。MacOS搭載機には感圧式ペンが使えるモデルがありません。ご子息がイラストを書くことに興味を持たれるかもしれない。絵が好きになったことで、宮崎駿さんや庵野秀明さんのような大成をなさるかもしれない。Thunderbolt3端子とおなじぐらいに恩恵を受けないまま捨てられるかもしれないですが、それでも’可能性’に掛けてみたいじゃないですか。
大きく美しいディスプレイで映像を見たり、音を聞いたりすることで花開く可能性もありますが、しょせんはノートPCの音・映像ではその差はわずかですから、そこは外部デバイス頼みにしましょう。
2021年3月に買うなら、具体的にはどれ?
ってことで調べていくと、Thinkbook 14s yogaのGen2 がぴったりはまる。
Tigerlake世代のi5にメモリ16G /256G SSDでYogaペン対応でTB4端子つき。課題があるとしたら「ちょっと女子大生には重い」か。ただ、自宅と大学の往復ぐらいでしか持ち歩かないよということであれば、Thinkbook 14s yoga Gen2がベスト・コスパ賞ではないだろうか。お値段ほぼ10万円(税込み)。
OSがHomeでいいなら、この価格.com限定モデルあたりがちょっとだけお買い得。メーカーページからたどっていってカスタマイズをすると、Pro OSも選べる(当然価格は数千円UP)
https://kakaku.com/item/K0001314867/
ちょっとでも軽くということならENVY x360 13-bd0003TU パフォーマンスモデルS3 …になるんですが若干値段が高く13万円程度。ただ、この3万円の価格差だけでCPUがi7-1165G7になり、SSDも512になります。厚みも若干薄くなり、バッテリ持続時間も若干伸びるのでそう悪い3万円差ではない、ともいえます。
https://kakaku.com/item/K0001319317/
余談ですが、ENVY 13(x360ではないほう)をはじめMX450搭載マシンをおすすめに入れるかどうかは結構悩みました。が、ペンが使えないことは100歩譲ってまぁいいかなと思う一方、MX450搭載のTigerlakeにするとThunderbolt4対応がなくなっちゃうのがどーしても「可能性」を削ぐなぁと思って、おすすめには入れませんでした。もちろん、別途Desktopを買っちゃう前提ならいくらでも他に勧められる機種があったんですが、
- この1機種で乗り切る前提
- 可能性をとにかく削がない → 感圧ペンとThunderbolt3/4必須
- デスクトップという選択肢はなし
- RAM 16Gbyte~ は必須
- 税込み10万円程度
という条件で見ていくと、Thinkbook 14s yogaのGen2を超えるものがみつからなかった、という感じです。逆に上記の条件を満たして、これより良い提案がある方はぜひ教えてほしいです。